不動産投資のトレンドワード「DIY型賃貸物件」の注意点

個性の時代とも言われている令和時代。少子高齢化で空室問題が顕著になっている中、個性が表現できる空室対策としてDIY型賃貸物件が注目されています。しかし、好きに室内をいじっていいという点からトラブルが多いという実情もあります。今回はその概要や注意ポイント、民間団体が作成したガイドラインについて解説していきます。

DIY型賃貸物件の基礎知識

投資用不動産を所有している場合、通常はオーナーがリフォームや修繕などを行います。
主な目的は、
●古くなった設備などを交換し、次の入居者に快適な住環境を提供する
●トレンドに合わせた間取りや設備を導入することによる空室対策
●汚れや破損部分を補修し見た目を整える
などですが、とことんやるとなるとそれだけ経費がかさむ点は否めません。
また、オーナーがリフォームの内容やリフォーム後のデザインが気に入っても、入居希望者と合致しない場合もあります。令和時代は個性の時代とも言われており、できれば自分好みの部屋で暮らしたいという方が多いのは事実。こういった風潮をくんで国土交通省は、入居者の意向を反映して住宅の改修を行うことができる賃貸借契約やその物件をDIY型賃貸物件と定義し、その普及に努めています。
DIYは、do it yourself の略語で、一般的には自分で大工仕事など行うことを指します。しかし、素人が部屋の修繕などを行うというのは難しい点もあります。もちろん自分で行ってもいいのですが、DIY型賃貸物件では業者に頼んで実施する工事も含まれています。
またこの動きは、国が推し進めている中古住宅の流通や空家活用の促進に向けた取り組みにもつながっています。

DIY型賃貸物件におけるオーナーのメリットは、退去のたびにあれこれ考えたり、多額の費用を捻出したりといったことがなくなるという点です。退去後にすぐ貸し出せるので、空室期間が短縮できるというものポイントです。また、入居者が自ら自分好みの部屋に仕上げるため、長期間住んでもらえる可能性が高いというのも特徴です。こだわりの部屋という視点からすると、設備や仕様がグレードアップしている可能性も考えられるため、時間やお金をかけずにハイレベルな物件のオーナーになれるかもしれません。
入居者のメリットとしては、賃貸なのに自分好みの部屋が手に入るという点があげられます。持ち家でしか叶わなかったことが賃貸でも実現できるというわけです。また、工事費用は自分持ち※なので、その分相場より安く借りられるというのも特徴です。

通常の賃貸借契約は、「賃貸借契約書」を交わすことで締結できます。一方DIY型賃貸借契約は、「賃貸借契約書」「増改築等の承諾についてのお願い」(申請書兼承諾書)「合意書(工事内容などの取り決め)」の合計3種類を作成し、交わす必要があります。

※取り決めにもよるが、オーナーが負担するのも可。

トラブルに発展しないためにも、ガイドラインを知っておくことが重要

オーナー、入居者ともにメリットがあるDIY型賃貸物件ですが、自由に工事ができるという点からトラブルも報告されています。これは、双方の同意がない工事をしてしまったというケースもありますが、建築基準法に則していない施工をしてしまったということも多くなっています。

通常住まいの改修などをする場合は、建築基準法に熟知した専門家がかかわることになります。建築基準法には、消防法、安全を確保するためのルールなどが事細かに記されているので素人には難解・・・ということは否めません。そういった側面もあり、DIY型賃貸物件は一般的に広く普及していないとも言えます。そこで、建築家や不動産管理の専門家が所属する団体(HEAD研究会賃貸DIYワーキンググループ)が普及の妨げになっている部分を解消しようと、2019年5月にガイドラインを発表しました。ガイドライン内では、DIYの対象となる物件をフローチャートで分類し、どのようなDIYができるのかを、図解を交えたりしながら分かりやすく解説しています。巻末にはオーナー向けの内容もまとめてあるのでぜひチェックしてみてください。

「賃貸DIYガイドライン ver.1.1」
http://www.head-sos.jp/file/diy_guideline_v1.1.pdf

上記URL内のアンケ―ト結果にもありますが、カスタマイズ・DIY実施意向率は25%※となっています(全額自己負担の場合)。現在はこの数値ではありますが、ガイドラインが整備されたことで、ニーズが高まっていく可能性は大いにあります。今後は、投資用物件の選択肢にDIY型賃貸物件を加えることで賃貸経営の幅が広がるかもしれません。
※リクルート住まいカンパニー調べ。賃貸契約者に見る部屋探しの実態調査 全国版(2018年5月)内、「住まいのリフォーム・カスタマイズ」実施意向にある2017年度全体の数値より

DIYが可能な範囲はオーナー側で指定

もちろん、建築基準法で定められている範囲すべてに対応しなくても構いません。“リビングはこだわりの仕上がりにしたので手を入れないで欲しい”“DIYができる範囲が広いとトラブル時に対応が大変そう”などの思いもあるでしょう。
あくまでもオーナーの所有物なので、「増改築等の承諾についてのお願い」(申請書兼承諾書)「合意書(工事内容などの取り決め)」にはオーナーとしての考えをもれなく明記し、トラブルに発展しないようにしてください。

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