医師の不動産投資による節税効果

医師は年収が高い分、本業において多くの税金を納めていらっしゃいます。高所得者の宿命で仕方のないことと捉えている方も多いかもしれませんが、不動産投資を始めた場合、節税による効果が得られるということはご存知でしょうか?

個人で投資用不動産を所有したら、不動産所得として確定申告を

所得税は個人の所得に対してかかる税金で、1年間の所得合計額から所得控除額を差し引いた課税所得金額に税率をかけて税額を算出します。また、2037年までは、復興特別所得税も併せて納付します。
超過累進税率なので、所得が多くなるほど税率が高くなります。つまり、納税者の支払能力に応じて公平に税を負担する仕組みになっているというわけです。利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得、一時所得、雑所得と10種類に分かれていて収入や必要経費の範囲、所得の計算方法などがそれぞれ異なります。一棟アパートやマンション、区分所有マンションなどの投資用不動産を所有して賃料収入がある場合は、不動産所得として確定申告が必要です。

ある程度の税金や節税の知識は必要。節税には法人化も有効な方法

“せっかく不動産投資で利益を得ようと思ったのに、税金ばかりとられて思ったほど手元に残らないのでは・・・”と不安に感じている方も多いかもしれませんが、そこでお伝えしたいのが節税についてです。不動産所得は、総収入金額-必要経費で算出されます。つまり、節税でポイントとなるのは、経費として計上できるものはきちんと処理し、課税所得金額(=不動産所得)をなるべく低くすることを心がけるということ。総収入金額は賃料収入のほか、名義書換料・承諾料・更新料または頭金などの名目で受領するもの、敷金や保証金などのうち、返還しないもの、共益費などの名目で受け取る電気代・水道代・掃除代などです。一方、必要経費として計上できるのは、固定資産税、損害保険料、減価償却費、修繕費などで、ローンの利息部分もこれに当たります。

キャッシュフローを向上させるための方法のひとつである節税。不動産投資を行う上で、ある程度の税金や節税に対する知識を常に持っておくことは必要です。ここが不足していると、賃料が入ってきても手元にキャッシュが残らず、結果的に経営が難しくなり、大したキャピタルゲインが得られないタイミングで売却することにもなってしまいます。不動産投資はFXや株などに比べてもリスクが低く、運用が面倒でないとは言われていますが、あまりに無頓着でいるとせっかくいい物件を所有していても、残念な結果になってしまいます。医師は忙しいので日々の細やかな対応は難しいかもしれませんが、不動産管理会社や税理士にもアドバイスをもらいながら、投資という本来の目的が果たせるようにしましょう。

専門家に相談するだけでなく、「資産管理会社」を使った節税という方法もあります。ご自身が購入した投資物件を所有する法人を設立することで、所得が分散されるので節税ができます。分かりやすいように具体例をあげて説明すると、勤務医が不動産投資をした場合、ご自身の1年間の所得は給与と不動産投資で得た所得を合算したものになります。前述したように、日本は超過累進税率なので所得が高くなるほど税率がアップしてしまいます。そこでこの点を回避するために、不動産投資で得た収入の一部を資産管理会社に移すことで、節税につながることになります。

また、税率面で個人と法人を比較すると法人の方が低く設定されているという点も、節税という視点から注目しておきたいポイントです。課税所得がそれぞれ1,000万円だったとしても、個人の税率(所得税・住民税・復興特別所得税)は43.693%、法人の実効税率(法人税・住民税・事業性など。東京都の中小企業の場合)は36.04%と大きな開きがあります。個人はさらに細かく分かれていて、1,800万円以上4,000万円以下になると税率は50.84%にまで上がってしまいます。こういった点を知らなければ、賃貸経営が軌道に乗れば乗るほど税率がアップしてしまい、手元に残るお金が減ってしまうことになります。
※税率は2018年12月時点のもの

ほかにも法人化することで、家族を職員にし、毎月給料を支払うことで生前贈与と同じ効果が得られることや、退職金をご自身やご家族に支払い、損金扱いにすることも可能です。退職金の所得税は優遇されているので、その点も覚えておきましょう。

法人を設立する場合は、タイミングもしっかり計っておく必要があります。個人事業主は、年間の売り上げが1,000万円以上になったら法人化したほうがいいというアドバイスを税理士から受けることがありますが、不動産投資の場合は少し違います。節税という点に注力するなら、所得税率が一気に上がってしまうような戸数が多かったり満室が期待できたりする一棟物を購入するときが、法人化するタイミングと言えるでしょう。

上手に節税をしながら、目的に合った賃貸経営を

特に勤務医の場合、給与に関する納税は勤務先がやってくれるので、投資を始めたばかりのころは節税に対する意識がなかなか自然に持てないかもしれません。しかし、不動産投資は立派な事業です。経営する側の視点で、収支や節税についても念頭におきながら、なぜ投資をするのか?と掲げた目的が達成できるようにしてください。

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