働き方を大きく変えた医師たち

国家資格を取得すれば、さまざまな働き方を選択できる医師という職業。その働き方は、実に多種多様といえるのではないでしょうか。
今回は、医師の働き方、その中でも特に「それまでとは働き方を大きく変えた」医師に着目してご紹介します。

医師の働き方 ケース1 〝生死をかけた手術から自由診療へ”

まず1人目は、心臓血管外科から美容整形という、180度違う分野に転換した医師のお話です。
人の役に立ちたいという一心で医師という道を志し、医師の資格を取得後は心臓血管外科の道へ進み、多忙ながらもやりがいを感じ、仕事に打ち込んでいました。そんな中で、働き方を変えるきっかけとなる出来事が起こります。それが、医師自身が受けたとある手術です。この医師は後に、「手術によって若い自分であっても人生が激変することに感銘を受けた」と、語っています。「人は、コンプレックスや悩みを改善すれば、人生の質を高めて幸福な人生を生きることができる」と悟ったとのこと。その結果、さまざまなコンプレックスを抱える人の手助けができる、美容外科の医師を目指したのだそうです。
生死をかけた心臓外科医から自由診療の道へ転換したことで、お給料の面からみれば当然ながらアップし、働き方も柔軟になりました。傍から見れば「稼げて楽ができるようになった」と思われるかもしれません。しかし、美容整形の患者は健康な人が対象となること、「今の状態よりプラスになることが当然」とされる医療行為であるためマイナスになることがあってはならないため非常に高い技術や知識が必要になります。そのため、この医師は現在も高い技術や知識を求めて日々勉強をし、見識を広めています。

医師の働き方 ケース2 〝大学病院 時々在宅 そして地域医療へ″

2人目は、大学病院に非常勤で勤務する傍ら、自らが診療所の院長となって診療を行い、地域医療へと貢献している医師のお話です。
この医師は某大学病院で助教として勤務していた中で、ひょんなことから地域の歴史ある診療所が閉鎖の危機にあることを知り、引き継ぐ形で院長に就任しました。
ここまでなら「血縁関係なく院長職を引き継げてラッキーな医師」と思われるかもしれません。しかしここに至るまでは、それなりに紆余曲折がありました。一時期、訪問診療の職に就いていた時期もありますが、例えば「靴を脱いでは上がれないような家への訪問診療」なども経験されています。
また、この医師の引き継いだ診療所は患者の平均年齢が70歳代後半と非常に高く、まさに超高齢社会の縮図ともいえる患者層です。現状のまま若い世代の新規患者が増えなければ、10年後や20年後には患者がいなくなる可能性も否定できません。
そのため、地域の医療という特徴を生かし、通いやすさ、地域性の理解、職業や生活環境、家族環境の理解をすることによって患者の背景を考慮した診療を行い、上からの「指導」ではなく、患者に寄り添った医療を展開しています。
多くの患者が若いころからお世話になっているというこの診療所で、看護師などほかのスタッフとも協力し、少しでも患者が前を向いていけるような診療を心がけています。
このように大学病院、地域診療という全く異なる分野を同時進行で働くという働き方もあります。

医師の働き方 ケース3 〝麻酔科一筋15年 勤務医からフリーランス″

3人目は、同じ診療科の中で勤務医からフリーランスという、「働き方」を変えた医師のお話です。
この医師は麻酔科医として15年ほど、大学の医局に所属していました。その中で、結婚、妊娠、出産を経て、1児の母親になりました。しかし大学病院に勤めながら仕事と家庭と子育てを両立するということが難しく、特に子どもが生まれてからは遠隔地への病院の異動や当直、オンコールに対応することが難しくなりました。
そうなると職場の風当たりも強くなってしまい、結果的に「働きにくい環境」になってしまいました。また、結婚生活でもすれ違いが生じ、結婚10年目には離婚も経験しています。
そんな中で、子供のことを考え時間を作り出しつつお金も稼げるということでフリーランスとしての働き方を選択しました。数年間は子供とも向き合いながら、順調な「フリーランスとしての働き方」を経験しています。
しかし、某ドラマのようにうまくはいかず「フリーランスの麻酔科医」という立場への風当たりが強くなり、仕事としては成り立ちにくい状況となりました。子供もちょうど小学生になることがきっかけとなり、生まれ故郷に子供と一緒に帰ろうと考えたのだそうです。
フリーランスとなって5年。現在は、生まれ故郷の地域にある民間病院で、麻酔科医の部長として働いています。
このように一時的ではありますが、フリーランスとして働くことで、お金を稼ぎつつ時間を作るというのも、医師の働き方としてはあります。しかし、医師がフリーランスとして長く働き続けることは、難しい面もあります。
この医師のように、数年間は子供との生活のために時間的自由の効くフリーランスという道を選びつつ、いずれは「医師不足」が喫緊の課題となるような地域で勤務医として根を張るという働き方もできるのではないでしょうか。

まとめ

医師としての働き方は、働く分野を変える、働く場所を変える、働くスタイルを変えるなど、本当に多種多様です。自分のライフスタイルや自分のやりたいことに合わせて働き方を選択することで、より自分らしく「医師として働き続ける」ことができるのではないでしょうか。

■おすすめ記事
医師が「人を雇う」時に注意すべき3つのポイント
これからの医師に求められる役割とは?
他クリニックの一歩先を行く差別化経営