美術の教養はエリートの常識!アートコレクターが増える理由も

書店でビジネス書籍のコーナーへ行くと美術・アート関連の本が平積みされていることが増えてきました。本当のビジネスエリートは、美術の教養を身につけている、との視点に注目が集まっているためです。マーケティングに変わる「アート思考」も注目されています。

また、ファッション通販サイト「ZOZOTOWN」を運営する株式会社ZOZOの社長が、高額な現代アートをコレクションしていることも有名です。なぜ、現代のトップビジネスパーソンは美術の教養を身につけたり、アート作品を購入したりするのでしょうか。この記事では、ビジネスパーソンが美術を学ぶメリットについてお伝えします。

ビジネスと美術・アートの切り離せない関係

ビジネスとアートには、切っても切り離せない関係があります。日本にいるとあまり意識することは無いかもしれませんが、出張などで外国のビジネスパーソンと話す機会がある人なら、日常会話の中で「美術」に関する話が出てきたという経験があるのでは。

なぜ「美術」がビジネスの現場で必要とされるのか、その理由を解説していきます。

歴史的な美術の知識は世界のエリートの教養

書店のビジネス書籍のコーナーに必ずと言って良いほど平積みされているのが、木村泰司氏の著書『世界のビジネスエリートが身につける教養「西洋美術史」』です。本書は美術史を学ぶことで、政治・宗教・風習・価値観を理解しようというコンセプトです。

世界的なビジネスパーソンというと、欧米出身の人を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。長きにわたって世界の中心だった西洋の歴史や哲学は、美術史に詰まっています。

歴史や聖書の一場面を描いた絵画を理解できる知識は、欧米のビジネスパーソンにとっては一般的な教養です。日本人にとっては学校で教わらないことですが、欧米の人々は小さい頃から美術館で名画を見ているので、一般的な知識なのです。

彼らと「美術」という共通の話題で盛り上がれるようになっておくことで、ビジネスも円滑に進められるでしょう。また、欧米の人々にとって美術は一般教養なので、日本人ビジネスパーソンが美術を分かっていると「教養のある人だな」と思って貰うことができます。

経営者が現代アートを購入する理由

「成功者」の買い物として思いつくのは、豪邸や高級車、高級腕時計ではないでしょうか。しかし、最近ではZOZO社長の前澤友作氏のみらず、現代アートをコレクションする若手経営者が増えています。

一番多いのが、本人がアート好きでコレクションしているケースですが、社内にアートを置いておくことで、社員のクリエイティブな発想力が上がったり、会社を訪れたクライアントから良い反応を得られたりと、メリットも多数あります。好きで集めているアートが会社に良い影響を与えるなんて、一石二鳥でもあります。

なお、美術品と言えば将来値上がりしたら売る投資が目的なのでは?と考える方もいるかもしれません。しかし、現代アートは作家が大勢いて全てが値上がりするとは限りません。投資目的というより、「応援したいアーティスト」を見つけて作品を買っているコレクターが多いのです。

アートを見る力はビジネスに活かせる

美術は共通の話題になるだけではありません。美術を見る感性や、見たものを言語化する能力を磨くことは、ビジネスで新領を切り開く力にも繋がります。

次はアートを見る力がなぜビジネスに活かせるのか解説していきましょう。

従来のマーケティングは古い

ビジネスパーソンが教養として美術館に通うブームの火付け役となったのが、山口周氏の著書『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』です。本書は10万部を超える発行部数となり、大きな注目を集めています。

本書では、マーケティングに頼る従来のビジネス戦略への危機感が語られます。Web上で不特定多数の人々にアンケートを取ったり、ビッグデータを活用したりして、「人に買われる商品」を作ることがマーケティングで、今もマーケティングに基づいた商品開発やビジネス戦略が練られています。

ところが、データから論理的に「売れる商品」を考えると、さまざまな会社が似たような商品を出す、という現象が起こってしまいます。論理・ロジックには、会社や社員の個性が反映されず、誰が考えても同じような結論になるためです。

マーケティングからアートへ

さまざまな会社が似たような商品やサービスを売り出す中、必要なのは「アート」の考え方だということです。つまり、「この人、この会社でなければ作れないものを売り出す」ことです。

アートは、世の中のニーズを踏まえて作られるものではありません。アートを見る人も、「この作品は○○に役立っている」と考えるのではなく、「綺麗だなぁ」「変な絵だなぁ」と感覚で受け止めます。

美術の知識をないがしろにして良いわけではありませんが、「面白い」「また見たい」と思わせるアート作品にこそ、これからのビジネスパーソンが学ぶべきことがある、と山口氏は言っているのです。

美術館もビジネスパーソンを対象に

山口氏の著書の影響か、美術館へ行くビジネスパーソンが増えています。夜間開館を行なっている美術館も多く、会社帰りの時間帯に美術館へ行くことも簡単になってきました。

そんな中、東京国立近代美術館は山口氏と共同で、ビジネスパーソン向けのプログラムを開発しました。同館の作品を見ながら対話するワークショップと、山口氏の特別講義をセットにしたプログラムで、有料なのに人気のプログラムとなっています。

ビジネスにはロジカルな考え方も重要ですが、一歩踏み出すには感性も重要です。美術は知識だけでなく感性も鍛えるものなので、対話型プログラムでは「自社の特徴は何か」といった抽象的な課題に立ち向かう力も養うことができるのです。

まとめ

美術史の知識の必要性や、アートを通してビジネスに活かせる感性を磨くことについて紹介しました。どれも「今すぐ使える簡単なメソッド」ではありませんが、じっくりと知識や感性を育てていくことで、ビジネスパーソンとして大きく成長できるでしょう。

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