ITで医療業界は変わる。AIなど最先端技術を医師向けに解説

電子カルテを初めとするデジタル技術が医療現場に導入されるようになって久しいです。医師も看護師もコンピュータを使わないで業務はできず、今やITを使いこなせることも仕事の一つとなりました。

医療現場のIT化の流れはとどまるところを知らず、今度はAIやIoTといった最新の先端技術の導入まで間近に見えてきています。医療の専門知識をお持ちの方々にとっても、最新技術の勉強までは手を出せないな…と感じている人も多いのではないでしょうか?

この記事ではAIやIotといった最新技術がどのようなものなのか、初心者向けに解説していきます。医療現場でどのように活用されていくのかも、一緒に考えていきましょう。

最先端ITのキーワード解説

早速、AIやIotなどの最先端ITについて解説していきましょう。

人工知能と訳される「AI」

AIは「Artificial Intelligence」の略で、日本語では「人工知能」と訳されます。SF映画での使われ方から「人間を超える知能」をイメージしてしまう人もいるかもしれませんが、人工知能は所詮システムです。人間の脳とは違うメカニズムで動くものなので、人間とAIを比べることにはあまり意味がありません。

AIが得意なのは、与えられたデータから特徴や傾向を理解し、その枠組みで与えられるデータを判定することです。例えば、監視カメラの映像から一般の買い物客と万引き目的の人を見分ける、といったことをAIは得意としています。一般の買い物客のふるまいと万引き目的の人のふるまいの傾向を理解し、新しい監視カメラの映像を与えられたとき、移っている人が万引き目的かどうか判断する、といった活用例です。

AIの教育法「ディープラーニング」

ディープラーニングは深層学習とも言われており、これ自体はユーザーが使えるシステムではありません。人間や動物の脳神経回路をモデルとした学習アルゴリズムで、機械が自立して学習する仕組みのことです。

ディープラーニングでは大量のデータをAIに与え、自立的に学習してもらう「教師なし学習」です。人間が質問と回答を覚えさせるのではなく、データの特徴を導いて機械が自動的に学習する仕組みです。現在のAIはこのように大量のデータから特徴や傾向を導いて学習していることが多いです。

注目を浴びている「IoT」

IoTは「アイ・オー・ティー」と読み、「Internet of Things」の略です。医療分野のIoTはIoMTと呼ばれることもあり、これは「Internet of Medical Things」の略で、医療IoTと訳されます。

IoTはその名のとおり物のインターネットで、例えば、インターネット上のレシピを検索して提案してくれる冷蔵庫や電子レンジなどがイメージしやすいでしょう。最近では、アップルウォッチのような身に着ける端末で心拍数や睡眠の質を測ることもできます。

医療現場での最先端ITの活用

すべての医療現場でAIやIoTが活用されるのは先のことになりそうですが、研究はすでに進められています。実際に医療現場で活躍しそうな技術について見ていきましょう。

また、ここのような技術が発展すると人間の医師の仕事が無くなってしまうのではないか、と心配な方もいると思います。そのような方に向けて、AIと人間は別の役割を担うべき、という点についても解説していきます。

内視鏡の画像認識

医療現場でのAI活用例として最も有名なのが、レントゲンや内視鏡の画像から腫瘍などを見つける画像認識です。実際に、健康な人と腫瘍のある人の胃の内視鏡画像を使って早期胃がんの発見に役立てる研究が理化学研究所と国立がん研究センターを中心に進められています。

早期胃がんは進行性胃がんや大腸がんと比べると、内視鏡で見たときに炎症と似ているため発見が難しいのですが、画像を使ってディープラーニングしたAIは高精度でがんの患者を識別することができました。

AIが「がん」と判断した画像のうち、実際に「がん」であった割合は93.4%と非常に高かったのです。また、AIが「正常」と判断した画像のうち、実際に「正常」であった割合は83.6%でした。

IoTで健康管理

アップルウォッチのような腕時計型のウェアラブル端末を用い、心拍数などの数値を測ることができます。これを医療現場でも活用すれば、医師や看護師が労力をかけなくても患者のデータを24時間取得することができます。

また、現在健康な人もウェアラブル端末を使うことで健康を管理することができます。従来は体重計に乗って測る体重や体脂肪率が健康のバロメーターでしたが、ウェアラブル端末を使うことで消費カロリーや睡眠時間も計測できるようになりました。健康な人が病気にならないよう、意識を高めるためにもIoTは役立ちます。

AIは医師の仕事を奪うのか?

あまりにもAIが万能であるかのように語られるため、「AIが人間の仕事を奪い、人間は仕事を失って生活費を稼げなくなる」と悲観的な論調も少なくありません。医師の仕事も同じようにITに置き換わり、医師は仕事を失うのではないかと心配している方もいるのではないでしょうか?

ですが、AIやディープラーニングについて正しい知識を身につけた皆さんなら、AIが医師の仕事を奪うわけではないことに気づくでしょう。上記で解説した画像認識のように、正解・不正解が決まっている物事を高速かつ正確に行えるのがAIです。手術の技量や患者とのコミュニケーションなど、すべてにおいてAIが医師を上回れるわけではないのです。

また、画像認識のようにAIはパターン化された処理を高速で行うことができます。しかし、イレギュラーな事態にはめっぽう弱いのもAIの特徴の一つです。医師の仕事はルーティーンだけでなく、患者によって個別のトラブルが起こることもしょっちゅうです。そのようなとき、あらゆる可能性を総合的に判断して施術を行う能力は、AIより人間の医師の方が優れています。

まとめ

AIに始まる最先端ITについて解説していきました。AIに仕事を取られてしまうのではないか、と不安に感じている方も、AIと人間とでは異なる能力を持っていることを感じていただけたのではないでしょうか。

AIなどITが得意としているのは、単純な作業を高速で行うことです。単純作業は人間でもできますが、人間とは比にならないスピードで処理してくれます。単純作業はITに任せ、医師は人間にしかできないイレギュラーな事態への対応など、付加価値の高い仕事をしていくのが良いのではないでしょうか。

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