PDCAはもう古い?話題のOODAで組織を強くする

変化の激しい時代を生き抜くためには、意思決定のスピードが重要です。意思決定のためのメソッドも次から次へと新しい方法が提案され、書店のビジネス書コーナーには毎日のように目新しいメソッドを紹介する本が並びます。

最近ではPDCAがかなり定着してきて、社会人であれば聞いたことが無い人の方が少ないほどになりました。PDCAも意思決定や業務実行のスピードをアップするメソッドですが、トップビジネスマンの間ではすでに古い概念となっています。今、注目を浴びているのが「OODA(ウーダ)ループ」です。

OODAとは?

「OODA」は「観察(Observe)」「仮説構築(Orient)」「意思決定(Decide)」「実行(Act)」の4つの頭文字を取ったもので、読み方は「ウーダ」です。「OODAループ」と呼ばれることもあり、観察・仮説構築・意思決定・実行をぐるぐると回して意思決定や業務実行をしていく方法になります。

それでは、各ステップの内容をご紹介していきましょう。

ステップ①観察

日本語では「観察」と訳されるObserveですが、英語の意味から考えると「自分や周囲に関する情報収集」と読み換えた方が分かりやすいです。最初の「観察」の段階では、自分がおかれている状況や環境、自分の強み・弱み、他社の強み・弱みなどの情報を集めていきます。

例えば、「うちの病院は患者が夕方~夜に集中してしまい、この時間帯だけ医師が足りなくなる」「早朝・日中はあまり混雑しない」「病院がビジネス街にある」などのように、情報を集めていきます。

ステップ②仮説構築

OODAループは1回で完結するものではなく、ビジネスを行うときに試行錯誤を繰り返しながら何回も回すループです。前回の意思決定ではどうだったかを振り返り、失敗や反省を活かす段階が「仮説構築」です。

もちろん、前の「観察」で集めた情報を主に使います。情報や経験を総合し、周囲の環境について仮説を立てます。ここで言う仮説とは「病院の患者は〇〇を求めているだろう」「内科だけでなく、〇〇科の設立が求められているだろう」など、世間や利用者といった他者の内なるニーズです。

例えば、「うちの病院はビジネス街にあるから、体調が悪い人は仕事終わりに病院に寄ろうと考える」といった仮説を立てることができます。

「自分の病院が〇〇をすると良い」といった自分の行動に関わることは、次の「意思決定」で決めていきます。情報を集めると即座に自分の次の行動について結論を出したくなるかもしれませんが、仮説構築の段階では「周囲の環境についての仮説構築」を行いましょう。

ステップ③意思決定

意思決定の段階では、自社がなりたい姿や取りうる選択肢を上げていきます。前の段階で作った仮説とは違う方向になってしまっても良いので、自分たちが実現したいことを優先して考えます。

前の項目では、「ビジネス街にある病院には、体調が悪い人が仕事終わりに病院に寄ろうと考える」という仮説を立てました。これに対し、まず考えられる意思決定は「夕方~夜に働ける医師を増員する」があるでしょう。しかし、本当にこの方針で良いのでしょうか?

自らが実現したいことを考えていくと、「無理して出社してしまう会社員から、感染症が広がってしまうかもしれない。感染症の拡大を未然に防ぎたい」「本人は軽い風邪だと思っていても、重症化しやすい病気の場合がある。体調が悪いと思ったら我慢せず、仕事中でも受診しに来てほしい」などが考えられるのではないでしょうか?

このように「実現したいこと」を起点に考えていくと、「夕方~夜に働ける医師を増員する」では的外れなことが分かります。「感染症の拡散リスクについて広める必要がある」「重症化しやすい病気があることを、多くの人に知ってもらいたい」などの思いから、「仕事中でも病院に行くべき体調悪化のチェックリストを作り、近くの会社に配布する」といった意思決定も可能です。

ステップ④実行

最後の「実行」では、前の「意思決定」で決めたことを実践します。実行すると2回目のOODAループが始まるので、決めたことを実行しながら情報を収集していくことになります。

前に出した例の「チェックリストの配布」を実行したら、「実際に昼間に来院する患者は増えているのか」「夕方に来院する患者の数は減ったか」「患者の増減があったとしても、単なる季節による変化ではないか」などの情報を収集していきます。

OODAループの特徴

OODAループと似たような概念として有名なのが、PDCAサイクルです。OODAの意味を把握したところで、PDCAとの違いや長所・短所についてご紹介していきます。

OODAとPDCAの違い

OODAとPDCAは両方ともビジネス上の課題を解決するための行動プロセスという点が共通しています。アルファベット4文字なので、見た目にも似ていますね。

ですが、OODAが向いている場面とPDCAが向いている場面は明確に異なります。OODAループは意思決定のためのプロセスなので、「新規事業を成功させるにはどうしたら良いか?」といった答えの無い課題を解決したいときに使うメソッドです。「何をするか」を考えるときに力を発揮します。

一方、PDCAは「仕事の効率を上げるにはどうしたら良いか?」のように、やること自体が決まっていて「やり方」を考えるときに有効なメソッドです。もともと工場の生産を効率化するために生まれた考え方なので、やり方の効率化などに向いています。反対に、「何をするかすら決まっていない」場面ではPDCAを活用するのは難しいでしょう。

OODAの長所、短所

OODAループの長所は、「自分・自社が実現したい理想に近づける」という点です。意思決定の項目でも解説したとおり、OODAでは「周囲の環境」と「自社の実現したいこと」をマッチさせるので、従業員と利用者の双方にとって満足度の高い商品やサービスを生み出すことができます。

一方、OODAループは組織の意思決定を行うサイクルのため、経営者などトップのマネジメント層でなければ導入が難しいという短所もあります。現場が主導してOODAループを実践している例は、今のところありません。

まとめ

PDCAが日本の企業に導入されて久しいですが、トップのマネジメント層にとってPDCAは物足りないでしょう。企業を率いる経営層や病院を経営する医師の皆さんは、新しい未来を切り開くツールとして、OODAループを使ってみてはいかがでしょうか。

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