部下を伸ばす叱り方には『型』がある!実験に基づいた良い叱り方

会社を辞めるとき、上司に伝える理由で最も多いのが「家庭の都合」です。しかしこれは建前で、上司に言えない本音としては「人間関係」が最多となっているそうです。

あなたの会社や病院に勤めていたけど辞めていったあの人も、本音では人間関係に悩んでいたのかもしれません。最近は上司の指導を「理不尽なパワハラ」と捉えて辞めていくケースも多いです。

そこで今回は、人間関係を悪化させない上手な指導について解説していきます。間違った叱り方のチェックリストを載せたので、あなた自身の叱り方を振り返りましょう。その上で良い叱り方を理解し、ぜひ部下が辞めていかない職場を作っていってください。

日本人は叱り方が下手!?

そもそも、日本人は叱り方が下手な傾向があると言われています。多くの日本人が「悪い叱り方」をしてしまっている、ということです。

まずは悪い叱り方の例を解説していくので、自分の叱り方が当てはまっていないかチェックしてみてください。

あなたの叱り方は大丈夫?

あなたは部下に、次のような叱り方をしていませんか?1つでも当てはまったら「パワハラ上司」のレッテルを貼られているかもしれません。

1. 人格の否定
・どうしていつもダメなんだ
・ガッカリしたよ
・仕事を舐めてるんじゃないの?

人格の否定は最もやってはいけない叱り方です。自分が言われたらどんな気持ちになるか想像すれば、言ってはいけない理由も明らかでしょう。

2. 能力の否定
・こんな簡単なこともできないのか
・新人でもできるのに
・常識が足りないんじゃないの?

あなたにとっては簡単な仕事でも、部下にとっては難しいのかもしれません。反対に、あなたにとって難しいことを他の誰かがいとも簡単にできてしまうことだってありますよね。得意不得意は人それぞれなので、いきなり能力の否定をしてはいけません。

3. 可能性の否定
・この仕事、向いてないんじゃない?
・社風に合ってないよ
・辞めた方が良いんじゃない?

発破をかけるつもりの言葉かもしれませんが、部下は「これからの成長は見込めない」と冷たく突き放されたように感じてしまいます。そもそも仕事で叱るときにはミスを叱れば良いので、将来性に嫌味を言う必要は無いでしょう。

悪い叱り方には「否定」という共通点があります。3つの例のような叱り方を続けていると、部下を潰してしまうかもしれません。

褒め方と叱り方の実験

発達心理学者のエリザベス・ハーロックが実施した実験で、どのように指導すれば子供の能力を伸ばすことができるかが判明しました。ハーロックは子供を次の3つのグループに分け、5日間にわたって計算テストを受けさせました。

1. 点数に関わらず、できたところを褒めるグループ
2. 点数に関わらず、できなかったところを叱るグループ
3. 点数に関わらず、何も言わず放任するグループ

3つのグループの点数は最初こそ同程度でしたが、5日の間に差はどんどん開いていきました。最もテストの点数が良くなったのが褒めるグループ、次が叱るグループ、最下位が放任グループです。

この結果から言えるのは、放任するよりは叱った方が良いけれど、叱るよりも褒めることで人の能力を伸ばせる、ということです。実験の対象は子供でしたが、大人にも応用できるでしょう。

とはいえ、上司として部下を叱らなければならないタイミングはあります。実験結果を応用し、人格は褒めて行動を叱れば良いのです。次の項目で良い叱り方を解説していきましょう。

良い叱り方の『型』とは?

良い叱り方には、次の4ステップの『型』があります。叱り方に自信が無くても実践できるよう、それぞれのステップについて詳しく解説していきます。

1. 事実を確認する
2. 怒り以外の感情を伝える
3. 改善策を話し合う
4. 励ましを伝える

1. 事実を確認する

まず、冷静に事実を確認するところから始まります。例えば部下が発注数を間違えてしまったときは、「発注の数に誤りがあったのは本当?」と聞けばよいのです。

間違っても「発注もできない無能なのか!」などと人格を攻撃してはいけません。部下を萎縮させ、仕事のやる気を削ぐだけです。あなたはストレスを発散できるかもしれませんが、部下のストレスは溜まる一方で、問題が解決しないどころか酷くなる可能性があります。

2. 怒り以外の感情を伝える

事実がはっきりしたら、怒りを抑えて他の感情に置き換え、気持ちを伝えましょう。怒りをそのままに「君にはガッカリだ!」など人格を否定する言葉を言ってはいけません。

例えば、「いつも真面目に仕事をしている○○さんが発注ミスをしたので、ビックリした」のように伝えると良いでしょう。ミスと人格は関係が無いので人格は褒めつつ、ミスについて驚いたり不安になったりしたことを率直に伝えるのが効果的です。

3. 改善策を話し合う

次に、改善策について話し合いましょう。本人の不注意でミスをしてしまうことがほとんどですが、なぜ不注意が起こったのかは上司が部下に聞かなければ分かりません。

ただ単に、前日の飲み会が遅くまで続いて寝不足だったのか、仕事が忙しすぎて小さなミスをしてしまったのかでは、改善策が異なりますよね。部下と話し合いながら、改善策を考えていきましょう。

4. 励ましを伝える

部下と話し合って改善策を決めたら、励ましの言葉を言って気持ちよく会話を終わりましょう。「信頼しているから、これからも頼むね」のような言葉をサラリと言える人は素敵です。

「照れ臭くて言えない!」と思われるかもしれませんが、みんなそう思って言えずにいるから人間関係が悪化するのです。日頃の感謝を伝える言葉は、言って損をすることはありません。

すべてのステップを通して言えるのは、上司のあなたは常に冷静でいないといけないこと。上司が冷静だとミスをした部下には「ミスをした自分を気遣ってくれるなんて、優しい上司だな。この人のためにこれからも頑張ろう」という気持ちが湧いて来るはずです。

良い叱り方のまとめ

あなたの叱り方は、悪い叱り方に当てはまっていませんでしたか?

この記事では、誰でも「良い叱り方」を実践できるように叱り方をステップごとに解説しました。ぜひ、叱り方を見直して部下か仕事に打ち込める環境を作っていきましょう。

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