ブロックチェーンで医師の仕事が変わる!最新技術が叶える未来の医療現場

『ブロックチェーン』はビットコインなどの仮想通貨に用いられる技術として有名になりました。ですが、ブロックチェーンは仮想通貨だけでなく医療現場にも役立つ技術です。

このコラムではブロックチェーンとは何か、ブロックチェーンによって医師の仕事がどう変わるかを解説していきます。エストニアでは既にブロックチェーンを使って電子カルテを管理しており、その事例も紹介します。

ブロックチェーンとは?

ブロックチェーンとは、簡単に言えば『同じデータを複数の人が管理する仕組み』のことです。複数の人が持っているデータを同時に書き換えるのは基本的に不可能なため、改ざんに強いシステムとなっています。

また、1つのコンピューターがダウンしてもデータが失われることはありません。これも、複製の人が同じデータのコピーを持っているためです。

すなわち、ブロックチェーンとは不正なアクセスや改ざんに強いデータ管理システムのことです。仮想通貨の他にも様々な領域で応用が期待されており、その1つが医療分野です。

ブロックチェーンが変える医師の仕事

ブロックチェーンが医療現場に導入されれば、次のような変革が起こると予想されます。

1. 医療機関同士で患者の情報を共有できる
2. 別の病院でも過去の診療や病歴を踏まえた診療が受けられる
3. 健康なときの情報を治療や研究に活かせる

医療機関同士で患者の情報を共有できる

多くの病院では、既に電子カルテを使って患者の情報をデータ化していると思います。しかし、せっかく電子化しているのに、病院内の管理だけに終わっていませんか?

データ化すれば他の医療機関に患者のデータを送ることもできるはずですが、医療機関同士の情報共有はあまり進んでいません。情報セキュリティの観点から共有できない、といった問題があるからです。

しかし、改ざんや不正アクセスが難しいブロックチェーンであれば、患者の情報を保管しても問題ありません。一方で、アクセス権のある医療機関が別の機関で診療を受けた患者のデータにアクセスすることは可能です。

不正アクセスを防ぎ、権利のある参加者だけが見られるデータベースが、ブロックチェーンなのです。医療機関で活用すれば、医師は患者の情報を得たり、共有したりしやすくなるため、仕事が効率化できると予想されます。

別の病院でも過去の診療や病歴を踏まえた診療が受けられる

かかりつけ医が患者を大学病院に紹介する場合など、患者が1つの症状で複数の医療機関を受信するケースはよくあります。ですが、現状だとすべての病院で同じ検査を繰り返すことが多く、医師や患者の負担が大きくなっています。

これは、医療機関同士で患者の情報が共有できるようになれば解決します。現段階では保存形式の違いなどにより、共有できないのが問題です。ブロックチェーンで情報を管理する倍はすべての機関が同じ形式を使うことになるので、この問題は解決できます。

ブロックチェーンで情報を医療機関と患者で共有できるようになれば、患者は担当の医師が変わっても同じ説明を繰り返す必要はありません。医師にとっても、ブロックチェーンのデータにアクセスして患者のカルテなどを見ることができるので、効率的に仕事を進められます。

ブロックチェーンを全国の医療機関で活用することで、患者は過去の病歴や治療歴を踏まえたケアを受けることができます。

健康なときの情報を治療や研究に活かせる

医療に活用できる情報は、診察や治療の履歴だけではありません。健康な時に受けた健康診断の結果や、ウエアラブルデバイスによる日常的な記録なども、診療の役に立ちます。

現状、健康なときのデータは病院には無いので、診察として患者からヒアリングするしかありません。ですが、ウエアラブルデバイスが普及してブロックチェーンでデータを管理できるようになれば、病院は患者が元気なときのデータも参考に診療することができます。

Apple Watchなどのウエアラブルデバイスは徐々に普及してきているので、ブロックチェーン上で個人のヘルスケアデータを管理する時代もそう遠くはないでしょう。健康なときのデータも活用して治療できる可能性はすぐそこまで来ています。

エストニアの事例

エストニアでは政府全体をITで管理する仕組みとして、ブロックチェーンを採用しています。医療分野では、ブロックチェーンを使って電子カルテを共有しており、国内のどの病院に行っても患者は過去の病歴を踏まえた治療を受けることができます。

また、自動車運転免許の更新をする際、認知症患者でないかどうかを確認するため、電子カルテの情報を参照する試みも始まっています。このようにエストニアでは、既にブロックチェーンが医療現場やその周辺に深く浸透しています。日本がエストニアに追いつくまでには時間がかかりそうですが、最新の事例を学んで将来に備えておきましょう。

まとめ

ブロックチェーンは仮想通貨だけでなく、様々な領域で活用が見込まれるデータ管理システムです。不正アクセスや改ざんに強いシステムなので、医療現場では次のような変革が期待されています。

ブロックチェーンは医師の仕事の効率化を進めてくれる技術です。最新のITに対して苦手意識を持つ医師もいるかもしれませんが、基本的なことを学んでおくのは自分、そして患者さんのためとなり、医療の進歩にもつながっていきます。

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