緊急医師確保対策の活用について

医師不足の問題は深刻であり、特に過疎地は病院閉鎖に追い込まれるなど深刻な問題となっています。そこで厚生労働省は平成19年に「緊急医師確保対策」を開始しました。どういう内容が盛り込まれているか気になるポイントです。

緊急医師確保対策への取り組み

医師不足は全国的な問題であり、厚生労働省をはじめ多くの自治体が積極的に取り組んでいるテーマです。特に過疎地では深刻な医師不足となっています。
緊急医師確保対策は医師不足解消を目標に、平成19年からスタートしたものです。予算も平成19年は92億1900万円だったのに対し、平成20年には160億3400万円と平成19年と比較して74%ほどアップしています。
まずは平成19年6月に緊急臨時的医師派遣システムを用いて、第一弾医師派遣をしています。派遣先は北海道の北海道社会事業協会岩内病院(内科)全国社会保険協会連合会、岩手県の県立大船渡病院(循環器科)、宮城県の県立宮古病院(循環器科)、国立病院機構、日本赤十字社・恩賜財団済生会、栃木県の大田原赤十字病院(内科)、日本赤十字社、和歌山県 の新宮市立医療センター(産婦人科)です。これらの病院で医師不足が深刻のため、派遣しています。
また医師不足から医師の加重労働も問題となっています。過重労働を回避するために交代制勤務を導入したり、医師補助者を配置したりするといった処置です。しかし現状、医師の絶対数が足りないため、交代勤務をスムーズに行うだけの人材確保が難しく、医師の加重労働は現在も続いています。
診療報酬についても医師の負担を減らすため見直しが実施されました。このように医師が働きやすく、また負担がかからないよう環境整備をしている様子が伺えます。

山口医学部医学科の緊急医師確保対策枠

山口大学医学部医学科では平成21年度の推薦入試から「緊急医師確保対策枠」を設定しています。推薦入試は地域に貢献することが前提であり、募集が20名に対し地域枠が10名ほどとなっています。山口にお住まいの方に有利な条件です。
申し込みには全国枠と地域枠があります。地域枠については山口県内の高校を卒業見込みの方となります。また山口県内に3年以上保護者が住んでいることも条件です。卒業後は山口県の医療施設で働く意思がある人となっています。また過疎地についても貢献する強い意志があることが条件とされています。
貸与額は月額20万円です。こちらは返済免除制度もあり、卒業して臨床研修終了後に12年間の間に9年間山口県の医療施設で働くことが条件となっています。またそのうちの4年間は過疎地での勤務となります。条件はありますが、これをクリアできれば医師になるのに最適な道と言えます。山口在住の方は可能なら活用してはどうでしょうか。

過疎地の産婦人科問題

医師不足や費用等の問題で過疎地の病院の閉鎖は依然として進んでいます。特に産婦人科は法改正が行われてから、過疎地から姿を消す結果となりました。過疎地の特徴として若者が少ないといったことが挙げられますが、中には過疎地で暮らす若者もいます。Aさんは過疎地の公務員の男性と結婚し、嫁いできましたが、妊婦検診などは車で40分ほどの病院に通院しなければなりませんでした。
特に困ったのは出産時です。出産の際は自宅から向かう予定のため、旦那さんは臨月の前から夜いつでも車で病院に移動できるよう待機し、出産に備えました。
幸いAさんは出産予定日の1週間後に安産で出産し、事なき終えました。Aさんの地域ではこうしたことが当たり前に行われていますが、初産だったため病院の近所にアパートを借りて待機するかも検討したそうです。アパートを借りるとなると費用もかさむのでこの選択はしなかったそうですが、近所に病院がないことはこうしたリスクもあり、特に過疎地は出産や緊急時、治療を受けるのが難しい状況となります。
緊急医師確保対策が開始されてからも同じ状況で、2人目の出産も車で40分ほどの産婦人科だったAさん。2度目も安産だったので問題はなかったのですが、緊急時はどうしたらいいのかいつも心配な状況だったそうです。
今後日本の過疎化はさらにすすみます。医療施設も医師不足の問題が根本的に解消されない以上、過疎地ではさらなる問題となります。
青森県深浦町という町では医師が見当たらず台湾医師を誘致したという例もあります。今後こうした状況が続くのであれば、外国人医師導入と通訳対応で賄うしかない状況かもしれません。

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