2020年相続税改正「遺産の使い込みはご八度に」

相続財産の使い込みで他の法定相続人が損をするケースがあります。こちらについても2020年の相続に関する改正で大幅に変更となります。

相続財産は使いこんだもの勝ちだった

相続財産については使い込んだもの勝ちの状態でした。どういう状況かというと、例えば認知症の母親の財産を長男が管理し、貯金3000万円のうち2500万円を自分の借金返済にあてたとします。母親が亡くなった時点で手元にあった財産は自宅の2000万円と貯金500万円でした。トータル2500万円を法定相続人である長男と次男で分けるのが以前の法律でした。
使い込まれた次男はたまったものではありません。そこで裁判を起こすケースもよくある例ですが、すでに2500万円は長男の借金返済に充てている状況で手元になく支払い能力もありません。よって次男は泣き寝入りするしかありませんでした。
本来次男は2500万円の相続が可能な状況でした。それが長男の使い込みによって1250万円になってしまったのです。
裁判を起こしても長男に支払い能力がないのでどうすることもできない状態でした。
最近では1990年代に多く生まれたフリーター世代が高齢化し、親の年金や貯金で生活しているケースもあります。無職で高齢の親と実家暮らしをしているわけですが、こうした人たちが相続財産を食いつぶすケースも多くみられます。
お金は確かになければしょうがありません。ない袖は振ることはできないのが現実です。ただこれではあまりにも不公平なので今回次のような改正がなされました。

使い込みを許さない相続体制に変化

上記では使い込みの例と泣き寝入り状態の次男のケースを紹介しました。泣き寝入り状態の次男ですが、今回の改正で大きな変化が見られます。それはどういった改正なのかというと本来相続予定だった次男の2500万円が、予定通り相続できる権利になるというものです。
とは言っても手元には2500万円しかありません。そうなるとどうなるのかというと、長男の相続はゼロになるというわけです。長男ゼロ、次男2500万円の相続となります。
このケースでは幸い不動産と500万円が残っていたので次男は予定通り相続することができたわけですが、不動産と残りの貯金も使い込みをしていたらそれこそ次男は泣き寝入りになります。
高齢の親の資産は法定相続人で共同管理するなど工夫しておいた方が無難です。
現在は人生100年時代に突入しつつあります。高齢で元気であれば問題ありませんが、認知症などさまざまな問題も増えています。そうなると財産管理もままならず、財産管理をしている人が使い込みをするケースが増えることが予想されます。介護などさまざまな問題があると思いますが、相続財産なども含めてあらかじめ第三者を入れるなり工夫しておいた方が良いでしょう。

不動産の所有にも注意

相続で気を付けなければならないのは、貯金の使い込みだけではありません。最近は無職で高齢の親と同居しているケースも増えています。Bさんは無職独身50歳です。母親が他界し、相続が発生しました。Bさんには弟がいます。Bさんの弟は結婚して独立しています。
相続にあたりBさんの場合、居住している自宅が3000万円相当の不動産、そして母親の貯金が50万円ほどです。トータル3050万円が2人の相続対象となります。
Bさんの母親と弟は長年無職で実家に居座っているBさんに嫌気がさしており、不動産贈与などもまったく実施していません。またBさんの弟はBさんが将来自分の家族の負担になるのではと考えており、母親の相続をいち早く済ませてBさんと縁を切りたいと考えています。このケースではどうなるのかというと、自宅は売却しBさんに1525万円、弟に1525万円が相続となります。
ところがBさんは「住む家がない。仕事もない」という理由で母親の死後も実家に居座っています。母親が死んだ当初は「これから仕事を探す。仕事について落ち着いたら相続の分与をしよう」と言っていました。一応仕事についたものの、食べるのに精いっぱいで住居探しまではいかない状態でした。
こうした月日は流れ10年が経過。もういい加減、不動産を売却して財産分与してほしいと弟は弁護士に相談しました。
このように使い込みではありませんが、不動産の居座りも相続をできない状態になります。このような点も気をつけなければなりません。

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