2020年相続税改正「故人の預貯金がすぐに下せるようになる」

2020年の相続税改正では故人の預金の引き下ろしが見直されます。故人の預金を下ろせず、葬儀代などの現金が不足して困るケースも多々あります。

葬儀のための現金がない!

親などが亡くなった際、取り急ぎ葬儀を行うことになります。葬儀は何かと物入りです。人生の最終ステージとも言われており、ライフイベントの中でも大きな出費を伴うものです。最近は家族葬などが増えており、50万円前後で費用が抑えられるケースも多いのですが、それなりの規模で葬儀を行うとなると200万円前後の費用がかかることが珍しくなく、またその他仏壇やお墓の購入費用についても検討する必要があります。
まずは葬儀などのために現金が必要となるわけですが、残された遺族が相続前に建て替える現金が手元にある場合はさほど問題にはならないのですが、問題は建て替える現金が手元にない場合です。この場合どうするかというと、現金調達から工面する必要があります。現金調達で最も現実的なのが故人の預金を引き下ろすことです。故人の預金を下ろして葬儀などの費用が賄うことができれば、ひとまず大丈夫というケースも多いかと思います。
ところが故人の預金は故人が亡くなった時点で取引が一旦ストップされてしまいます。基本的に預貯金は本人が行うことが前提であり、他人が引き下ろしするのはNGとなっているからです。これは家族でも同じです。
そうなると現金が手元になく葬儀の費用支払いが困るというケースも考えられます。実際にこうした問題に面したことがある人も多くみられます。
お金を借りて相続ができるまで建て替えするわけですが、お金を借りると利子も付きますし不利な条件が付きまといます。銀行に現金があるのに引き下ろしができないというのは非常に不便ですし、利息の負担もバカになりません。
なんとも理不尽な決まりですが、遺産分割協議が完了するまで下せない状況です。

遺産分割協議完了前に故人の預金引き下ろしが可能に!

故人の預金引き下ろしは遺産分割完了後でないと対応できないのが通例でした。これが相続税の改正にあたり、一部預金の引き下ろしが認めらえるようになりました。
遺産分割ですがもめた場合、数年単位になることも少なくありません。現金不足のため葬儀のお金を借り入れた場合、どんどん利息が膨らんでしまいます。
2016年12月に最高裁の判決で「亡くなった人の預貯金は相続開始後も分割されない」と判決され、この判決後手元に資金がない人は非常に困るケースが続発しました。
日本では葬儀代を残しておくというのが前提なので、親の葬儀等を自分の資金で賄うために確保しているといった人は少数派かと思います。
今回の相続税の改正で認められたのは法定相続人の相続分の1/3までの預金引き下ろしです。故人の預金を仮払いの形で引き下ろしすることが可能であり、葬儀代を確保することができるという前提です。
もしものために親の葬儀代は自分で取り急ぎ払えるよう準備しておくのがベストと言えます。生命保険であれば死後わりとすぐに受け取ることが可能ですが、相続財産は受け取りまで手続きも大変なことが予想されますし、時間がかかることもあります。今回の相続税の改正で一部預金の引き下ろしが認められるようになりましたが、葬儀だけではなく例えば賃貸であれば立退料やその他の出費も考えられます。こうしたことも踏まえてお金の確保は早めにしておくのがベストです。

ノートの作成のすすめ

相続の際は、相続財産の洗い出しからスタートというケースが少なくありません。日本でも終活という言葉が流行っていますが、実際に終活している人は1割程度と言われており、ほとんどの人は何もしていない状態で死を迎えます。特に「財産がそんなにあるわけではないから」という声が多く聞かれますが、大なり小なり相続が発生する以上、整理整頓をしておくことをおすすめします。ここでいう整理整頓は死後残された人がわかる状態にしておくことです。例えば生命保険であれば生命保険の証書や受け取り先などをわかるようにしておくといいでしょう。また自分の死後、受取人が〇〇であり、受取金は〇〇万円であるなど明記しておくといいでしょう。申請漏れになってしまったり、相続財産がわからず受け取れずじまいになるケースもあるので注意が必要です。

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