それでも地方が呼んでいる-高知県編

平成20年以降、医学部定員を大幅増員したことにより、医師数が年々増えている日本。しかし、医師の地域偏在の解消には至っていないのが現状です。
今回は、医師の偏在という大きな課題を抱えた高知県に焦点を当てて、その確保対策について見ていきたいと思います。

マジックの元では、勤務医が多く見える高知県

高知県の医療従事医師数を見ると、人口10万対医師数は、306人以上であり、徳島、京都、東京に続いて第4位となっています。こう見ると、高知県では医師の偏在はあまり関係ないのでは?と考えられる方もいるかもしれません。しかしここには、「数字のマジック」が隠されています。ポイントは「人口10万対」という言葉です。「人口10万人に対して医師が何人いるか」という基準の下では、元々の人口が少ない方が、医師数が多く見えてしまいます。
さらに実際には、年齢、地域及び診療科目ごとの医師数にはそれぞれ大きな偏在があり、医師の増加率について全国と比較してみても、高知県は平均を下回っており、現在だけでなく今後も、高知県における医師不足解消は喫緊の課題とされています。

高知県の医師の実態とは?

それでは、引き続き高知県の医師の実態について見ていきます。
高知県が懸念している医師の実態の1つに、医師の高齢化が挙げられています。高知県では、県民の高齢化が顕著であり、全国的に見ると「10年先行して高齢化が進んでいる県」であると捉えられているようです。高齢化率に関する数値を見てみると、2017年時点での全国平均は27.7%でした。これに対し高知県では、2015年の時点ですでに32.3%となっており、今後も年々高齢者が増加していく傾向にあります。県民が全体的に高齢化するのに比例し、県に居住する医師の高齢化も見受けられるようになってきます。
2002年から2016年までの14年間における40歳未満の若手医師数を見てみると、2002年に 750人いた若手医師が、平成262014年には517人(31%減)と、減少が続いていました。しかしながら、2016年には552人と増加に転じていることから、若手医師については今後の高知県の対策次第で、増加傾向となることが予測できます。
一方で、診療科ごとにみてみると、産科・産婦人科については、2002年から18%以上減少しているほか、脳神経外科、小児科、麻酔科も、全国平均と照らし合わせるとその差は歴然としており、この4つの診療科に従事する医師が少ない傾向が続いています。

高知県の医師確保対策を見てみよう

そんな医師不足が懸念されている高知県ではどのような医師確保対策がなされているのでしょうか。高知県では、若手医師の不足、地域による偏在、診療科による偏在に着目した医師確保対策を打ち出しています。
中長期的な対策としては、高知大学医学生が卒業後に県内へ定着するよう促進し、若手医師にとって魅力あるキャリア形成環境の充実を図っています。前述のように、2016年に若手医師数が増加に転じている理由の一つが、この中長期的な確保対策が功を奏した結果と考えられています。
また短期的な対策として
・医師の処遇改善による定着の促進
・県外からの医師の招へい及び赴任医師に対する支援
・県外からの医師の招へいに向けた情報発信及び勧誘活動
・女性医師の復職支援
・医師の確保が困難な地域にある医療機関への支援
などをあげており、こちらは特に地域偏在の解消及び診療科の偏在に焦点を当てた対策となっています。

まとめ

勤務医の数が多く見えてしまう高知県ですが、県全体における医師の絶対数の不足、医師の地域偏在、診療科の偏在及び若手医師の減少が課題となっており、それを解決するための確保対策が施行されています。中長期的な確保対策は少しずつ効果が目に見えている一方、診療科及び地域の偏在については未だ途上過程にあり、高知県は医師をまだまだ必要としている県であるということがわかります。
転職を検討している医師、特に少ない診療科に該当している医師や若手医師の転職は、医師側にとっても有利となることが見込まれます。

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