クリニックのIT化、どこまで進める?

近年、医療現場においてもIT化が急速に進んでいます。カルテの電子化やスマートフォン、タブレット端末など電子デバイスを用いた診療などさまざまな方面で活躍しつつあります。一方で、クリニックのIT化においては開業者によって大きく分かれるようです。
開業するにあたり、クリニックはどこまでIT化を進めるべきなのでしょうか。

開業時、どこまで導入する?

少し古い資料ですが、厚生労働省が公表している「病院におけるIT導入に関する評価系」というものがあります。これによると、クリニックなどで使用する小規模システムは、医療機関への評価対象外となっており、IT化するか否かは開業者の自由としているところがあります。
そもそもなぜ医療現場にIT化が必要なのでしょうか。そこには大きく2つの理由があります。
一つは、医療にかかわる情報量が格段に増え、人間の頭の処理能力では追いつかなくなってきたという理由、もう一つは「現実的な理由」によるものです。これは、人間が一生で関わる情報の中で6~7割が保健医療分野に関する情報である、という考え方に基づいています。つまり、情報量が多過ぎてしまうため、IT化しなければ現実的に情報の処理や整理が追い付かないというのが、その理由です。
そもそもの経緯をみると、医療現場においてIT化が始まったのは1950年代です。ここから、レセコン、オーダーリングシステム、電子カルテ化へと進化を遂げながら、現在のようにITが重視されるようになってきたのです。

クリニックにおけるIT化の現状を見てみましょう。
厚生労働省が行った2017年の「医療施設(静的・動的)調査」によると、診療所(有床無床あわせて)全体で電子化しているのはおよそ31%、診療所内の一部で電子化しているのはおよそ10%でした。そしておよそ54%が「電子化する予定なし」となり、その他は2020年度以降くらいまでの間での導入を検討している、という結果になりました。
そもそも、電子カルテには医療機関にとって経済的なメリットが薄かったため、なかなか導入が進みませんでした。しかしながら作業の効率化などを考えると、開業し現場で仕事をする医師にとっては、経済的なメリットを考慮してもなお、電子カルテを導入した、いずれはしたいと考えているようです。

クリニックでIT化 メリットデメリット

クリニックでIT化を進めることによるメリット、デメリットはどのようなところにあるのでしょうか。
まず、クリニックでIT化を進めるにあたり理解しておきたいのが、クリニックと病院とでは、必要とされるシステムが異なるという点であり、病院でのメリットがクリニックのメリットに必ずしも該当するというわけではないという点です。
これを踏まえたうえで、クリニックでIT化をするメリットは大きく分けて、作業の効率化、患者への待遇の向上、医療安全管理に分けられます。
作業の効率化については、やはりパソコンで大量の情報を処理するのですから作業のスピードは手作業と比較すれば格段に違います。特にレセコンなどの事務作業は確実に効率化し、無駄な業務の削減につながります。また、職員の出勤状況などの情報もすべてパソコン内に収めることができ、職員への勤務表作成計画などの事務作業に対しても負担が減ります。
患者への待遇向上とは、パソコンで情報処理を行い作業が効率化することによって、医師の行う作業が減り、負担を軽減することができます。その結果、患者への診療行為への時間を作ることができ、気持ちに余裕を持った診療を行うことができます。また、インフォームドコンセントなど患者への説明の際にパソコンやタブレット端末を活用することで、効率良く充分な情報量の資料を提示し、質の高い分かりやすい説明をすることができます。
医療安全管理という面では、パソコン内に患者情報を入力するため誰しもが情報をチェックしやすく、禁忌事項やハイリスク事項の情報共有が可能になります。これにより患者情報の見落としや医師と看護師間での連携ミスを防ぐことも可能です。また、薬の不適切な投与や誤投与を防ぐこともできます。
デメリットは、パソコンであるがゆえにそれなりのトラブルを回避することは難しく、システム系に問題が生じることがあるということ、操作性に時間がかかるため慣れるまでに時間がかかるというところがあります。また、近年の日本は災害も多く、停電などに見舞われることも増えてきています。停電などが起これば電子機器ですので当然ながら使用できなくなってしまうというところもデメリットになります。さらに、メンテナス量やランニングコストは思った以上にかかるということを覚悟しておくことも必要です。

まとめ

クリニックにおけるIT化は、開業医の判断にゆだねられます。り災害や緊急時には無力となりコストもそれなりにかかりますが、作業効率は格段に上がり、施設間での情報共有が可能となります。いずれはDoctor To Patientでのオンライン診療や、Doctor To Doctorでの診療補助にも、つながる可能性があります。
このメリット、デメリットを考慮した上で、検討すべきなのかもしれません。

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