事業承継税制に注目

中小企業は今、存続の危機に立たされています。中小企業の後継者不足問題や従業員数の減少、承継の難しさなどさまざまな課題を抱えており改善は必須課題です。中小企業の承継については細かい規制があり承継時の納税などいくつもの問題をクリアしなければなりません。

中小企業の減少に歯止めをかけようと平成30年4月から事業承継税制が大幅改善され適用要件が緩和されました。今まで該当しなかった企業も今回の緩和で適用要件が該当するかもしれません。

平成30年4月から事業承継税制は大幅改善へ

事業承継税制は中小企業経営者の会社引き継ぎを支援する政策であり、税制措置を主とした支援活動の一環でもあります。

中小企業は日本企業の99.7%を占めており、日本経済の中枢と言っても過言ではない存在です。しかしながら後継者不足や資金難など多くの問題を抱えているケースが多く会社閉鎖を選択する例も少なくありません。日本は超高齢化社会に突入しており中小企業の経営者も70代経営陣が主力となっています。生涯現役の人も増えてはいますがいずれ承継の時期は訪れます。

承継については承継者の他に、株式の問題や継承時に発生する納税の問題があります。これをクリアしなければならないわけですが、会社運用に余力がないケースが多い中小企業では承継問題が大きくのしかかり負担になっているのも事実です。事業承継税制ですがこうした負担を少しでも軽くしようと大幅に改善されました。

まずは相続税や贈与税の負担の猶予です。承継の際、贈与税や相続税を納めなければなりませんが今後5年以内に特例承継計画を提出した場合、10年以内に承継を行う人を対象に下記緩和が適用となります。

・対象株式数や猶予割合の拡大
・対象者の拡大
・雇用要件の弾力化
・新たな減免制度の創設

内容は会社によって異なりますが、相続税や贈与税については猶予あるいは免除が適用になる可能性があります。猶予の場合、相続後しばらくしてから納税の対策を検討することができます。

免除の場合は、納税する必要がありません。相続税や贈与税は会社の資金規模で異なってきますが、免除という道が1番ありがたいケースとなります。

税制適用について

税制適用についても大幅緩和されました。以前は適用外だったケースでも今後は適用可能になる事例も増えることが予想されます。

税制適用の際、株式数についても制限がありました。以前は納税猶予の対象となっていたのは2/3であり、相続税の猶予割合は8割という規定でした。そのため後継者は事業継承時に多額の相続税や贈与税を納める必要がありました。

税制の対象について先代の経営者から1人の後継者に贈与あるいは相続する場合のみという規定で改正されてからどうなったのかというと、対象株式数の上限がなくなり100%の株式に適用となりました。承継時の税負担はこれでゼロとなります。

後継者についても1人だけではなく親族以外の人で最大3人まで承継対象です。

株価についても承継時の株価をもとに課税の対象となるため、株が下落するなど経営状況が悪化した場合、納税が大きな負担となってしまうケースも存在しました。

さらに従業員数についても縛りがあり、税制の適用後5年間で8割以上の雇用継続が条件でした。中小企業は人件費もギリギリで稼働していることが多くこの点も大きな負担です。

改正後は株式計算ではなく売却時の評価額をもとに算出されるので納税の負担は大幅に減少し、さらに5年間の従業員数8割継続は猶予が認められることになったので経営悪化の場合、申請により免除になることもあります。

要件見直し

平成30年の改正で事業承継税制の要件についても大幅に見直しされました。まずは承継の対象者の拡大です。対象者は今まで1人のみでしたが今後は3人まで対象となります。親族以外も可となっており、承継もしやすいシステムとなりました。また贈与については先代の経営者に限定せず複数の人で贈与も可能です。

中小企業は大企業のように財力や人材に余力があるケースが少ないため、平成30年以前の事業承継税制の要件は一部のケースでしか適用にならず、承継時の納税が重い負担となってのしかかっていました。結果的に閉鎖を選択するケースも多く、課題の1つとなっていたわけです。

承継時は登記の書き換えなども含め作業が多いことから、こうした労力もなるべくなくなるよう改善を願うばかりです。手続きの複雑さと納税の多さが解消されれば中小企業の閉鎖は今より減少することは間違いありません。