2020年相続税改正「配偶者居住権」について

相続が発生した際、配偶者が遺産分割のために住み慣れた自宅を出なければならない事態になるケースもあります。高齢で住み慣れた自宅を出なければならないのは非常に酷な話です。そうした背景から2020年の相続税改正では大きな改善がなされます。今回は2020年相続税改正「配偶者居住権」について紹介します。

相続時に住み慣れた自宅を出なければならない配偶者の背景

相続が始まると相続開始を知った日から10か月以内に相続についての手続きを行う必要があります。相続放棄については3か月以内となります。
相続ではトラブルになることも少なくありません。例えば相続のために自宅を売却するケースも多くみられます。不要になった自宅を売却し、現金化する分には問題ありませんが、問題なのは配偶者が居住しているにも関わらず財産分与のために自宅売却をしなければならないケースです。
よくあるパターンとしては父親が亡くなり、母親と子供たち3人の相続権が発生した際、子供たちの中に借金返済をしたいという理由から母親が住んでいる自宅を売却し、いち早く現金化したいというケースです。この場合、母親が金銭の用意ができないと自宅を出て売却に応じなければならないケースが少なくありません。
そもそもなぜこうしたことが起きるのかというと法定相続人は配偶者や子供で財産分与の権利は異なりますが、権利がある以上相続財産については配偶者であっても事情が考慮されないことが要因となっています。
その結果、高齢の母親が泣く泣く自宅を出て、手狭なアパートに引っ越ししなければならないことになるのです。不便さなどもさることながらストレスから引っ越しを機に痴呆の原因になってしまうこともあります。
相続のルールとは言え、こうした事態は非常に酷であり、当事者から不満も多い状況でした。
そもそもこの法律は40年前にできたものです。そのままの状態で運営されているため現代にそぐわない部分も出ています。そこで今回は40年ぶりに大幅改正に踏み切ることになりました。これにより配偶者の居住権についても改正されます。

配偶者居住権の設定/h2>
相続のために住み慣れた自宅を出なければならないというケースは実はよくあるケースです。住み慣れた自宅を出るのはもちろん物理的にできないわけではありませんが、高齢者が住み慣れた場所から住居を変えなければならないことは非常にストレスであり、老後の暮らしが心配という声も多く聞かれます。仮にアパート等に引っ越しした場合、今まで不要だった家賃がかかるのが一般的です。そうなると生活費も圧迫されます。このように住処を奪われるのは大変大きな問題であり、以前から改正してほしいという声が多く聞かれました。
今回の相続税改正にあたり配偶者居住権も大幅改正されます。改正されるのは配偶者居住権という新しい考え方が取り入れられます。この改正で配偶者は住み慣れた自宅に居住しながら遺産分与の際はお金も受け取ることができるシステムとなりました。
例として2000万円の現金と4000万円の不動産をのこしてAさんが亡くなったとします。
Aさんの相続対象者はAさんの妻65歳、子供2人です。この場合妻は半分、子供たちが1/4ずつで遺産分割の必要があります。子供たちは1500万円ずつ遺産を受け取る権利があるわけですが、妻は1000万円を用意することができないため自宅を売却して遺産分割しなければならない状態でした。
今回の改正では不動産の権利に1/2居住権、1/4所有権となります。奥さんが1/2居住権、子供たちが1/4所有権を所有します。現金については奥さんが1000万円、子供たちが500万円となります。
居住権は年齢で価値が異なるので確認が必要です。高齢だと先が長くないだろうという見解もあり、居住権の価値は低くなります。このように以前とはかなり大きく改正されているので確認が必要です。
また妻であれば誰でも居住権が発生するわけではないのでこの点も注意が必要です。相続時に住んでいることが基本条件となります。別居等している場合も除外されます。

不動産の権利は生前に確認するのがおすすめ

多くの場合、相続財産は不動産と現金が焦点となります。不動産については生前に相続後の権利や状況の確認をおすすめします。相続が発生した場合、居住が可能かどうかはもちろん、相続税についてもどのくらい発生するか、支払いは問題ないかなど念密な確認がおすすめです。老後安心して居住できるよう早めに行動しましょう。法律についてよくわからないといった人は税理士に相談するといいでしょう。また税務署でも状況を説明すればスタッフの方がある程度教えてくれます。

■おすすめ記事
不動産と現金 相続はどっちがお得?
最大難関2次相続に備えての節税対策
最期マネーはズバリいくら?お墓・葬儀・その他